さて、本書の醍醐味は(訳者解説より)、「各章で焦点を当てている食の各段階で、必ずと言っていいほど悪者と思しき存在が登場することだ。それは巨大な食糧商社であったり世界市場を支配する食品メーカーであったりメガ・スーパーマーケットでだったりお馴染みのファストフード・チェーンだったりする。(中略)
ところが、食の話はそう簡単ではないし、映画のようなわかりやすい勧善懲悪物語では終わらない。更に取材を進めるうちに、実はその悪者は単なる小悪にすぎず、彼らも実は現在のシステムの下ではそのように行動することを強いられているだけの、見方次第ではその悪者でさえ、自らがおかれた状況の中でもがき苦しむ哀れな存在であることが、次第に露わになってくる。そして、常にその悪者の上にはもう一段格上の悪者がいて、最初の無敵の巨悪に見えた悪者が、実はもう一段上の悪者によって操られているだけの、とても小さな存在であることが明らかになる。そして、困ったことに、そこから5段くらい上の段の、食システム全体の大奥に鎮座し、すべての問題の根本を作っている究極の悪者の顔を見たときに、ほとんどの読者は言葉を失うはすだ。その究極の極悪人は、なんと「xxx」なのだから。」
(「xxx」は本書を読んで解釈して頂きたい。ここを開示すると訳者にたぶん怒られてしまうような気がしますが。。いえ、ここまで書けば、お分かりになる方はお分かりになると思いますが。。)